
昔って、何年前?
「昔って、何年前のことだと思う?」
小学校3年生の子どもたちに、そんな問いを投げかけました。
「5年前」「3年前」。
自分が生きてきた年数を考えると、確かにそれも“昔”です。
一方で、「100年前」「50年前」、さらには「1000年前」「1万年前」と答える子どももいました。それはもう、“大昔”ですね。
同じ「昔」という言葉でも、思い浮かべる時間の長さは子どもによってさまざまです。
3年生で学習する「市の移り変わり」の単元は、まずこの「昔」をどう捉えるかという共通認識づくりから始まるのだと感じています。
どの教科書を見ても、時代区分は
明治・大正・昭和初期(戦前)
昭和後期(戦後・高度経済成長期)
そして現在
という三つに整理されていることが多いです。
これを、
「祖父母が小学生だった頃」
「父母が小学生だった頃」
「今の自分たち」
と言い換えることもできるかもしれません。
家族の時間を手がかりにして町の変化を捉える。
この単元は、子どもたちが歴史を学び始める大切な入口でもあります。
現在、岡山駅の変遷や交通網の発達、人口の推移など、さまざまな視点から岡山市がどのように変わってきたのかを、子どもたちと一緒に調べている最中です。
道具から昔を感じる
勤務校は、開校して10年ほどの学校です。
古くからある学校であれば、地域の方から譲り受けた昔の道具が倉庫に保管されていることもあると思います。しかし、新設校である本校には、そのような資料がほとんどありません。
本や映像を通して、昔の道具について知ることはできます。
それでも、やはり実物に触れることで初めて分かることがあると感じています。まさに、「百聞は一見にしかず」です。
僕自身、「本物に触れさせたい」という思いが強くあります。そこで、岡山県立博物館に依頼をし、いくつかの道具をお借りすることができました。
今回は、アイロンの移り変わりが分かるように、火のしとこて、炭火アイロンなどを展示しています。初めて目にする道具は、やはり手に取ってみたくなるものです。
さらに、隣には図書室から借りた、道具について調べることができる本も並べました。
「触ってみたい」「調べてみたい」
そんな気持ちが自然と生まれるような、ちょっとした仕掛けを用意しています。
新たな道具が
昨日、新しい道具が仲間入りしました。
それは、「電話」です。
『となりのトトロ』に出てくる電話と、黒電話を、大先輩の社会科の先生が学校へ持ってきてくださいました。子どもたちは、さっそく電話に手を伸ばします。
「どうやって使うの?」
興味津々な様子でした。
その後、大先輩から、昔の岡山の様子や、どんな少年時代を過ごしていたのか、当時のくらしについて、3年生にお話をしていただきました。実体験に基づく語りは、やはり心を引きつけます。子どもたちからは、次々と質問が出てきました。
これから調べていく「昔の道具」や「昔のくらし」への導入として、申し分のない時間になりました。
物に触れ、人に触れることで、昔のことに興味が湧いてくる。
その積み重ねが、歴史学習へとつながっていくのだと思います。
歴史は、単に覚えるものではありません。
社会科も、知識を詰め込む教科ではありません。
事象に出会い、興味を持ち、
「何だろう」と探り、
「どうしてだろう」と考える。
これこそが、社会科の学びです。
学びの入口に社会科があり、出口にも社会科がある。
その営みが続いていく先に、生涯学習があるのではないでしょうか。
きっと、小学校3年生の「市の移り変わり」は、その最初の一歩です。
今日も読んでいただき、ありがとうございます。