ICTがもたらす変化
『電子黒板亡国論-ICTで頭がよくなる?バカになる?-』戸松幸一著
「学校で授業をする意味、授業の在り方は?」
この頃、考えていることです。そこで出会ったのが、この本。
僕の勤務する学校には、教室に備え付けのプロジェクターがあります。パソコンも教室に1台、デジタル教科書もインストールされています。マグネット式のスクリーンが黒板に貼ってあります。そして、書画カメラもあります。
コンピュタールームもあります。タブレットPCはないです。
開校3年目の学校なので、ICT環境はかなり整っています。教育のICT化が進んでいるので、これからどこの学校でもICT環境が整ってくることでしょう。
さて、ICTがどのような変化をもたらすのか。
- ICT化
- 学習の入り口
- 教師の役割
この3点からこの本を紹介していきます。
ICT化
デジタル教科書
この本でも触れられていますが、僕もデジタル教科書はいらない派です。なぜなら、情報量が多過ぎるから。写真をクリックすれば、動画が流れる。英単語をクリックすれば、単語を発音してくれる。様々な仕掛けが用意されています。教科書は、紙媒体でシンプルなものがいい。あれもこれもといったサービスはいりません。
デジタルコンテンツ
例えば、Eテレの番組がいつでも見れるNHK for schoolというサイトがあります。コンテツが充実してくることは、有り難いです。僕は、特に理科や社会の授業でEテレの番組を活用しまくっています。10分で、単元で学習すべきポイントをまとめてくれています。ご丁寧にその番組を使った指導案やワークシートも用意してくれています。
他にも、ゲーム感覚で学ぶことができる学習アプリ。有名講師の講義を視聴しながら学べるものなど、ここ数年でデジタルコンテツの成長は、驚くものがあります。
学習の入り口
Eテレの番組や学習アプリ、はたまた歴史の漫画などは、興味を持つという学習の入り口としては最適です。僕自身も、横山光輝さんの漫画『三国志』で、中国史に興味を持って史学科へ入学しました。
入り口は通ったけれど、その先に進めるかと言えば、それは違います。より深く学ぶためには、知識を定着させること。そして、自分の考えを持ち、述べることができるように目的を持って学ぶ必要があります。
小中高生でも、それは同じ。面白い、楽しい段階で止まっているなら力はあまりつきません。
映像授業で成績が伸びる場合もありますが、それは学ぶ目的がはっきりしている子どもです。ただ何となく有名講師の授業を見てるだけでは、力はつきません。目的がある学びこそ、人は成長するのです。
教師の役割
これだけデジタルコンテンツが充実してきた中、学校の先生は、teacher(教える人)だけでは、映像授業の中の有名講師に勝てる訳がありません。また、いくら上手に説明しても、お金をかけて子供達に伝わるように番組作りを行っているEテレにも勝てません。
この本で一番に感じ取ったのは、これです。
教師は、 ICT化を「教えから学びの転換 」とだけ捉えるのではなく、「教え」の危機として捉えるべきである。
科目を教えるだけの教師や学校は、いらない。
科目を切り口に、学び方であったり、新たなことを知ることの喜びを示すことが、これからの教師の在り方だと言っています。教師自らが、学習を続ける研究者であれと。この部分は、大いに共感しました。
まとめ
教師が、教える技術を磨くことはこれまで通り大切なことです。ただ、知識の伝達だけであれば、もう限界があります。学びの場を創り、ファシリテイトしてい。さらに、デジタルコンテンツなど、有益なものは柔軟に取り入れて組み合わせていく。その為にも、常に学びの姿勢を忘れずに、学びを楽しむことを体現していく必要を感じました。
教師は、学びをコーディネートする役割が求められてくることをヒシヒシと感じさせてくれた1冊でした。
今日も読んでくださってありがとうございます。