眼鏡のカガヤキ☆

眼鏡を通して見えるキラキラした日常をお伝えします。岡山で小学校の先生をしている僕が、授業実践や読んだ本・好きな音楽・子育てについてキラッと輝くことをお伝えするブログです。

【読書感想文】学校で戦争を教えるということ

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仕事を休んでいるので、たくさん本を読んでいます。

今は、特に社会科に関する本を読んでいます。

実は後輩が、今年度岡山県の社会科部会で公開授業をすることになりました。僕は、今年度勤務校で社会科主任をしているので、少しでも助けることができないかと思い、社会科に関して学んでいます。

今回は、角田将士著『学校で戦争を教えるということ』を読んで僕が学んだことを3つ紹介します。

 

①事実と問題

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これまで、近代史のところで戦争について授業をしてきました。多くの先生が感じることですが、扱いにくい内容ということです。それは、政治的中立性を保った上で、授業を展開していく必要があるからです。第二次世界大戦における日本のとった行動や諸外国から受けたこと。様々な考えがあります。個人としての考えもあるでしょう。この部分にどこまで踏み込んでいけばいいのか判断がしにくいわけです。故に、起こった事象のみを淡々と伝えるだけ、子供たちからすると事象を覚えるだけというような授業展開がなされてしまうわけです。

そこで筆者は、「戦争と平和」を社会科で教える原則を2つ提案しています。

 

  1. 多様な見解は、事実として扱う。
  2. それらの見解を、問題として扱う。

 

「○○は、△△と言ってる」というように、戦争に対する様々な考え方を示すことで、戦争は何故起こるのかという問いにつなげていけばいいと言っています。扱うことが難しいテーマであるけれど、この原則を実現することができたなら非常に魅力的なテーマとなってきますね。正しく、正解がない問いなので、探究していくには持って来いでしょう。

 

戦争と平和

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小学校段階では、細かい出来事や時代背景を扱うわけではありません。寧ろ、年号を覚えたり、詳細な出来事の流れを把握するようなことを小学校で学習していくと、歴史嫌いを増やすだけです。中学校や高校でも歴史は学習するので、そこにつながるようなことをしていけばいいのです。著者は、それを「中・高での学びに発展していくような気付きや問題意識を醸成する。」と表現しています。

 

  • 戦争は良くないのに、なぜ起こったのか?
  • 「戦争を止めさせるには?」

 

この2つに対して考える子供を社会科の授業を通して育てるということです。「戦争と平和」に関して気付きを培う。これは、歴史分野だけではありません。6年生の社会科では、政治・歴史・国際社会について学習をします。これら全ての単元が、戦争と平和を考えることになるでしょう。つまり、6年生の社会科では、様々なアプローチで戦争と平和について学び、考えることになると言うことです。ですから、教師がこの視点を持っていなければ、気付きは生まれて来ないでしょう。

 

さらに、小中高と発展していくような学びを展開していくことも大切です。日本の社会科は、小中高と学習していくのに、積み上がっている感じがしません。知識の量の積み上げはあるでしょうが、その知識を活かした思考の積み上げが少ないのが現状です。これは、知識を問う試験内容が大きく関係していることですし、入試科目にないという理由から社会科に対してぞんざいな扱いをしていることも影響しているのだと思います。何せ、学力学習調査でも、社会科だけは試験がありません。

 

事実ベースの知識として、「なぜその時に戦争が行ったのか」戦いの原因や影響に対して継続的に着目し、共通点を見出すことをしていくことで、視点が養われることでしょう。

 

③戦争とは何か?

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僕が小学生の時、戦争は映画や教科書、漫画などで語られる遠い存在だっと思います。白黒の写真や映像であり、昔にあった出来事でした。

ただ、今の小学生にとって、ロシアとウクライナの戦争を画面越しで見ているので、戦争が少し身近なものと考えられるものかもしれません。

古い戦争と新しい戦争を比較する。大人は、自分の持っている戦争観をアップデートした方がいいのではないでしょうか。

僕は、この本と出会い、自分の持っていた戦争観が変わりました。白黒でなく、カラーで見ることで当時の印象も変わりました。この本を読んだ感想をブログに記していました。

【読書感想文】AIとカラー化した写真でよみがえる戦前・戦争 - 眼鏡のカガヤキ☆

本や映像、博物館など具体的なものに触れながら、「戦争とは何か?」を考えていくことが必要ですね。

 

④まとめ

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戦争は良くない。

ここで終わってしまうのは、社会科の授業でなくても出来ます。やはり、なぜ起こったのか。そして、どうしていけばいいのか。正解があるわけではありませんが、一人ひとりがこの課題に対する考えを持つ。そんな社会科の授業をつくっていきたいものです。6年生の社会科のテーマは、「戦争と平和」。これを意識して、どの分野も組み立てていくことからはじめるのが大事ですね。全ては、繋がっている。

大きな気づきを与えてくれた1冊でした。

今日も読んでいただき、ありがとうございました。